Kino

夏りょうこの空想映画館

FAKE

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(C)2016「Fake」製作委員会

2016/日本/ 109分

監督:森達也

出演:佐村河内守 佐村河内香 新垣隆

あらすじ

2014年にゴーストライター騒動で日本中の注目を集めた佐村河内守をとらえたドキュメンタリー。聴覚に障害を抱えながら「交響曲第1番 HIROSHIMA」などの作品を手がけたとし、「現代のベートーベン」と称された佐村河内。しかし音楽家新垣隆が18年間にわたってゴーストライターを務めていたことや、佐村河内の耳が聞こえていることを暴露。佐村河内は作品が自身だけの作曲でないことを認め騒動について謝罪したが、新垣に対しては名誉毀損で訴える可能性があると話し、その後は沈黙を守り続けてきた。本作では佐村河内の自宅で撮影を行ない、その素顔に迫るとともに、取材を申し込みに来るメディア関係者や外国人ジャーナリストらの姿も映し出す。(映画.comより)

 

夏りょうこからのメッセージ

そこに映し出されたのは、世間から攻撃されて傷つき、疲労し、人間不信に陥っている繊細な彼。そして、自分の家族と疎遠になってでも夫を信じ、支えようとする妻。約束と違う形で番組を流したテレビ関係者。監督の取材申し込みから逃げ回っているように見える新垣隆と神山典士。

 

彼の場合は聴覚が不安定な感音性難聴なので、「聞こえる/聞こえない」と単純に結論づけるのはナンセンスだという。医師による診断書もマスコミに提示したが、ほとんど報道されていない。

 

情報を操作して善か悪かの二元論で報道し、高く持ち上げておいて、後で叩いて落とすメディア。彼は本当に作曲ができるのか、著作権的にどこまでをゴーストライターと呼ぶのか。その論点を突き詰めないことには、決着がつきそうにない。

 

それにしても、この神々しいまでの夫婦の絆は何だろう?ラストで披露される佐村河内のスリリングな演奏は、尊い光が体の中に染み込んでくるような感覚に襲われる。いつまでもいつまでも心で鳴り響くメロディ。

 

もちろん、この作品に明確な答えがあるわけではない。下世話な好奇心で見てもよし。何を信じ、何を信じないかは見る者次第。

 

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