Kino

夏りょうこの空想映画館

スリー・ビルボード

f:id:naturyoko:20200624065701j:plain

(C)2017 Twentieth Century Fox

原題:Three Billboards Outside Ebbing, Missouri

2017/アメリカ/116分

監督:マーティン・マクドナー

出演: フランシス・マクドーマンド ウディ・ハレルソン サム・ロックウェル

受賞歴:ゴールデングローブ賞最優秀作品賞・最優秀主演女優賞・最優秀助演男優賞・最優秀脚本賞 アカデミー賞主演女優賞助演男優賞 ベネチア国際映画祭最優秀脚本賞

あらすじ

ミズーリ州の片田舎の町で、何者かに娘を殺された主婦のミルドレッドが、犯人を逮捕できない警察に業を煮やし、解決しない事件への抗議のために町はずれに巨大な3枚の広告看板を設置する。(映画.comより)

 

夏りょうこからのメッセージ

魂を揺さぶられっぱなし!サスペンスの醍醐味がぎゅっと詰まった衝撃作。

 

脚本も担当している監督は、劇作家としてローレンス・オリヴィエ賞を受賞しているほどの実力派。ケタ外れの執念と覚悟で突進する彼女と、それに対して容赦なく報復する警察官。この2人の複雑な関係を軸に、憎しみの連鎖と和解、そして犯人を追い詰めていくスリルが巧みに描かれ、ハラハラしたり泣いたりグッときたりの連続に満足度は上がりっぱなしだ。

 

特に母親の「そこまでする?」という過激な行動に隠された理由に、胸を強く打たれること間違いなし。また、彼女に責められる署長にもそれなりに事情があるわけで、善と悪を多角的に捉えつつ、どこかで人間を信じている監督の視点が優しい。

 

ドロドロなのに後味さわやかなのは、きっとそのせいだろう。

 

暴力の連鎖がすっと抜けた瞬間から、憎しみあっていた関係が急速に変化していく。それまで向かい合っていた2人は、一緒に前を向いて歩き始めるのだ。

 

ハリウッド大作にはしてはめずらしく、ラストの余韻がずしりと残る傑作。

 

関連ニュース

www.youtube.com『スリー・ビルボード』マーティン・マクドノー監督インタビュー | 映画/DVD/海外ドラマ | MOVIE Collection [ムビコレ]

物事の二面性と中間性を体現する『スリー・ビルボード』の衝撃|Real Sound|リアルサウンド 映画部