Kino

夏りょうこの空想映画館

ピアノマニア

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(C)OVAL Filmemacher / WILDart FILM

原題:Pianomania

2009年/オーストリア・ドイツ/97分

監督:リリアン・フランク、ロベルト・シビス

出演:シュテファン・クニュップファー ピエール=ローラン・エマール  ラン・ラン アルフレート・ブレンデル

受賞歴:ロカルノ映画祭批評家週間部門グランプリ

あらすじ

フランスの名ピアニスト、ピエール=ロラン・エマールが、バッハ晩年の未完の傑作「フーガの技法」を録音することになり、演奏するピアノにスタインウェイ社の逸品「245番」を選ぶ。スタインウェイ社の技術主任でドイツ人調律師のシュテファンは、バッハ時代の古楽器を研究し、エマールからの細かい注文にも丹念にこたえながらピアノをたくみに調整していく。(映画.comより)

 

夏りょうこからのメッセージ

耐えて支える。そんな言葉がピッタリなのが、ピアノ調律師だ。これは、ピアニストを影で忍耐強く支える調律師にスポットを当てたドキュメンタリーである。

 

他の楽器奏者とは違い、ピアニストは使い慣れた自分の楽器を持ち歩くことができない。そんな彼らのために、演奏会や録音の現場で万全の状態を作り出すのが調律師の仕事なのだが、どんな無茶ぶりでも受けて立とうという姿勢があっぱれだ。

 

何しろ芸術家は妥協を知らない完璧主義者だから、試し弾きをするたびに次々と高い要求を出してくるわ、無理難題をさらりと言い放つわで、もう大変。

 

一方、調律師も職人としてのプライドを賭け、意地を見せる。

 

そんな風に一歩も譲らない彼らが、究極の音色を求めていく姿はスリル満点。その世界は神秘的ですらある。それはピアノにしかない独特の舞台裏。

 

このような執念と狂気によって、至高の芸術は生み出されるのだろう。世界的ピアニストも登場し、彼らが絶大な信頼を寄せる調律師との不思議な関係を垣間見ることができるのも、この映画ならではの楽しみだ。

 

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