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夏りょうこの空想映画館

敬愛なるベートーヴェン

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原題:Copying Beethoven

2006/イギリス・ドイツ・ハンガリー/104分

監督:アニエスカ・ホランド ダイアン・クルーガー

出演:エド・ハリス

あらすじ

1824年のウィーン。“第九”の初演を4日後に控えたベートーヴェンのもとに、若い女性のコピスト(写譜師:作曲家が書いた楽譜を清書する職業)、アンナがやってくる。期待に反して女性がやってきたことに怒るベートーヴェンだったが、彼女の中に才能を見出し、次第にかけがえのない存在になっていく……。(映画.comより)

 

夏りょうこからのメッセージ

身だしなみを気にせず、汚い恰好をして言動ががさつ。反権威的。マイペース。でもロマンティストで繊細。そして偏屈で孤独。

 

楽聖ベートーヴェンを描いた映画は多々あれど、ひょっとしてこれが最もイメージに近いベートーヴェン像かもしれない。

 

交響曲『第九』の初演が近いのに、あの有名な合唱パートがなかなかできなくてイライラしているベートーヴェン。そこへ、女性コピストがやって来る。

 

作曲家が情熱を叩きつけるようにして書いた楽譜は、走り書きで読みづらい。そこで彼女のようなコピストが必要となるのだが、もちろんそれをただ清書すればよいというものではなく、優秀なコピストには音楽の知識や理解が必要だ。

 

特に彼女は、ベートーヴェンの音楽をよく理解していた。

 

おや?女だけど、なかなか話がわかるじゃないか!と少しずつ心を開き、弱みを見せ、助けを求めるようになっていく不器用なベートーヴェンが、ちょっと可愛かったりして。

 

見どころのある若い女性に弱いのは、オジサンの宿命。知的な美人だしねえ。全くしょうがないわねえ。ちなみに彼女は架空の人物だが、3人のモデルが実在するとのこと。

 

芸術の前には、性別も年齢も関係ない。そのことを改めて思い知らされる師弟愛。エド・ハリスの変貌ぶりにも注目したい。

 

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