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夏りょうこの空想映画館

2人のローマ教皇

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原題:The Two Popes

2019/イギリス・イタリア・アルゼンチン・アメリカ/125分

監督:フェルナンド・メイレレス

出演:アンソニー・ホプキンス ジョナサン・プライス

受賞歴:ゴールデングローブ賞最優秀作品賞・最優秀主演男優賞・最優秀脚本賞ノミネート  アカデミー賞主演男優賞助演男優賞・脚色賞ノミネート 

 あらすじ

カトリック教会の方針に不満を抱くベルゴリオ枢機卿は、ベネディクト教皇に辞任を申し入れる。しかし、スキャンダルに直面して信頼を失っていたベネディクト教皇はそれを受け入れず、ベルゴリオをローマに呼び寄せる。考えのまったく異なる2人だったが、世界に10億人以上の信徒を擁するカトリック教会の未来のため、対話によって理解しあっていく。(映画.comより) 

 

夏りょうこからのメッセージ

実話に基づいてはいるが、2人が会ったのは2013年に枢機卿教皇になった後なので、これは想像による物語である。

 

こんなに長い時間、お年寄りの姿を見つめたことがあっただろうか。

 

顔に刻まれたシワ。ゆっくりとしたしぐさ。顔を近づけて交わされる含蓄のある言葉。そこには良心の呵責、告白、赦しがあり、社会批判はユーモアで包まれている。ほぼ会話劇という地味な映画なのに退屈しないのは、知性に裏打ちされた対話が心地よいからだ。

 

アバの名曲「ダンシング・クイーン」に乗せて、新教皇の選出手続き(コンクラーヴェ)が淡々と映し出されるシーンには痺れた!なんというポップなセンス!厳粛な伝統儀式が楽しそうじゃないか。

 

孤独をチラリとのぞかせるアンソニー・ホプキンスのカリスマ性が、現教皇役にピッタリ。一方、飾らない人柄の奥に闇を抱える枢機卿を演じたジョナサン・プライスも、地に足のついた軽やかさで、ああ、いいものを見たという感じ。

 

2人の教皇は信者に崇められる神ではなく、弱さとズルさを必死で乗り越えようとしている人間だった。 

 

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