帰ってきたヒトラー
原題:Er ist wieder da
2015/ドイツ/116分
監督:ダーヴィト・ヴネント
出演:オリヴァー・マスッチ ファビアン・ブッシュ
あらすじ
服装も顔もヒトラーにそっくりの男がリストラされたテレビマンによって見出され、テレビに出演させられるハメになった。男は戸惑いながらも、カメラの前で堂々と過激な演説を繰り出し、視聴者はその演説に度肝を抜かれる。かつてのヒトラーを模した完成度の高い芸として人々に認知された男は、モノマネ芸人として人気を博していくが、男の正体は1945年から21世紀にタイムスリップしたヒトラー本人だった。(映画.comより)
夏りょうこからのメッセージ
ナチス末期の状況下からボロボロの状態でタイムスリップしてきたヒトラー。彼はヒトラー本人なのだから、ドイツ人にとって最大のタブーであるヒトラーネタを自然に連発し、その際どさが評判を呼び、次第にマスコミに注目されてスターになっていくあたりは、ヒトラーが人心をつかんで独裁体制を築き上げていった過程を髣髴とさせて狙い通りだ。
しかし、ヒトラー時代を過ぎ去った昔のことだと思っているからこそ、ドイツ人も彼の存在をギャグとして受け入れているわけで、実は本物だと知ればシャレにならない。
現代によみがえったヒトラーは、愛国心に燃えていて好奇心旺盛。だから、国内を旅行していろいろな人たちの意見を聞く。そんな風に国民の不満に耳を傾け、若者たちと対話をしていくうちに、ドイツの抱える深刻な問題が浮き彫りに。
ドイツは全然いい国になっていないじゃないか!と怒るヒトラー。
独裁者の意見にも一理あるかも。だんだんそんな気がしてきてしまう。
作品の中ではブレない彼に心酔した親衛隊ができるが、実際にロケ撮影でヒトラー姿の俳優を見て大喜びするドイツ人も少なからずいたらしく、今のドイツは一体どうなっているのかと考えてみる価値はありそうだ。
ブラック・コメディだと思って笑っているうちに、背筋がゾッとしてくる。
ドイツ人だから作れる。ドイツ人だから作った。そんな映画。
関連ニュース
ヒトラーの格好にドイツ市民はどう反応したか? 『帰ってきたヒトラー』主演俳優インタビュー|Real Sound|リアルサウンド 映画部
映画『帰ってきたヒトラー』主演俳優に聞く「ヒトラーの姿を見て喜ぶドイツ人がいた事に驚いた」 | ガジェット通信 GetNews