マザーウォーター

2010／日本/105分

監督：松本佳奈

あらすじ

ウイスキーしか置かないバーを営むセツコ、コーヒー店を開いたタカコ、豆腐屋のハツミら“水”にこだわる3人の女性と、彼女たちにかかわる人々の日常をつづる。（映画.cmより）

かき揚げと瓶ビール

京都の町で暮らしはじめた3人の女性が、つつましくも心豊かに暮らしている様子を描いた作品で、『かもめ食堂』『めがね』『プール』に続く人気プロジェクト第4弾なだけに、基本的に今までと同じトーン。

水をモチーフにしているので、マイナスイオンを浴びているような心地よさ。せわしない生活に疲れた女性を癒す効果はたっぷりだ。

独特の雰囲気を持つ京都の街を舞台に、マイペースな人物たちが織り成すほどよい距離感が羨ましく、「こんな世界がどこかにあったらいいな」と思ってしまう。ま、それがないからこのような映画が作られ、私たちもつい観てしまうわけだが。

散歩が趣味のような謎の人物もたいまさこ。独り暮らしの彼女がゴボウのかき揚げを作り、きちんと「いただきます」と言って瓶ビールを飲むシーンが、ひっそりとした豊かな食卓という感じ。瓶ビールのささやかな贅沢感も効いている。

1人呑みが似合う中年女性は、女子の憧れだ。1人で呑んでいても最初のひと口は笑顔だし、食事ときちんと向き合っていて…でもそんなことできるかな？ま、そうそうできないから、このような映画が作られ、私たちもつい観てしまうわけで。

Kino