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夏りょうこの空想映画館

カルテット! 人生のオペラハウス

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(C)Headline Pictures (Quartet) Limited and the British Broadcasting Corporation 2012

原題:Quartet

2012/イギリス/98分

監督:ダスティン・ホフマン

出演:マギー・スミス トム・コートネイ ビリー・コノリー ポーリーン・コリンズ

受賞歴:ゴールデングローブ賞最優秀主演女優賞ノミネート

あらすじ

引退した音楽家たちが暮らす「ビーチャム・ハウス」で穏やかに余生を送るレジー、シシー、ウィルフのもとに、昔のカルテットメンバーでありながら、野心とエゴで皆を傷つけ去っていったジーンがやってくる。近く開かれるコンサートが成功しなければハウス閉鎖という危機を迎え、誰もが伝説のカルテット復活に期待を寄せるが……。(映画.comより)

 

夏りょうこからのメッセージ

音楽があれば、いくつになっても人生を楽しめる。

 

とにかくまあイギリス名優たちの芸達者なこと。いや、この映画の魅力は、演技経験のない本物のミュージシャンたちが出演していることかもしれない。「演技はしなくていいから、今感じていることをそのまま」とアドバイスしたという監督は、年を重ねるとはどういうことかをそのまま観客に見せたかったそうだ。実際映画の中には、認知症の症状が見え隠れするキャラクターも登場する。  

     

最大の見せ場は、オペラの名曲が流れるコンサート・シーンであろう。

 

ゴタゴタした人間関係で心がバラバラになってしまった4人が偶然ホームで再会し、もろもろの恩讐を超えて「美しき愛らしい娘よ」(「リゴレット」)を歌う。かつては大スターだった4人。その伝説的カルテットが老境を迎え、それぞれの想いを胸に十八番を歌うクライマックスは感動的である。

 

まあ若い頃は、エゴで人を傷つけたりするからね。でも、もういいやん。昔のことは水に流して、残された時間を一緒に過ごそうよ。それはきっと、深い味わいのある人生。

 

このホームのモデルになった施設がミラノに実在するというから、驚きだ。音楽家たちが最期まで尊厳をもって音楽に向かい合えるよう作曲家ヴェルディが私費を投じて創設し、この映画のような練習室とホールもあるらしい。さすがオペラの都イタリア!

 

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